秋葉原アイディアソンVol.1「ライブエンターテイメント特区を考える」開催報告

広域秋葉原作戦会議プロジェクトでは、秋葉原を周囲の町も含む「グレーターアキバ」という新たな広域地域として捉えなおし、江戸時代からの歴史も踏まえながら街のさらなる活性化を目指しています。

これまでにシンポジウムや街歩きガイド作成など様々な活動を行ってきましたが、現在これまでの議論を踏まえて「アイデアソン」を定期的に開催しています。

今回はVol.1「ライブエンターテイメント特区を考える」で生まれたアイデアをお届けします。

主催: 東京文化資源会議 広域秋葉原作戦会議プロジェクト
共催: 二松学舎大学文学部都市文化デザイン学科
日時: 2018年12月15日(土) 10:30-16:30
会場: 二松學舍大学 AKIBA Lab(東京都千代田区外神田1-8-13)
参加者: 16名

 

 

アイデアソン(Idea-thon)とは:アイデア(Idea)とマラソン(Marathon)を掛け合わせた言葉。特定テーマについて、様々な分野の人々が集まりグループディスカッション等を通じて、新アイデアを創り出す。今回は「2020年に秋葉原がライブエンターテイメント特区となり、新しい文化が生まれる場所として世界から注目されるようになる」と想定し、ライブエンターテイメント特区とは何をできるようにすることなのか、特区になった結果どのような変化を迎えるのか、誰が何をするとそうなるのか……等々のアイデア出しを行った。

ライブエンターテイメントとは:従来の劇場型エンタメに加え、スタッフがパフォーミングするエンタメ、客が自ら参加体験するエンタメなど、能動的なエンタメのことを指す、と今回は定義した。


当日の概要

音楽やライブパフォーマンスに携わっている方、地元企業の方、ネットメディアの方、コンテンツ産業の企業の方、コンテンツ分野を研究している方など16名が参加。各自が持つ「秋葉原」や「ライブエンターテイメント」に対する深い知見や経験などを出し合い、6時間にわたり議論を行った。

まず午前中は「秋葉原のライブエンタメの強みとは?」「秋葉原のライブエンタメがもっと良くなるために必要なことは?」「『ライブエンターテイメント特区』のスローガン」などを話しあいながら、関心が近い者同士で3つのグループを形成した。昼は懇親とフィールドワークを兼ねてグループごとに秋葉原の街へ昼食に出た。

午後は各チームの考える特区のアイディアを煮詰めていき、「特区化を必要とする課題」「特区で目指すもの(ビジョン)」「特区で行うこと(取組み内容)」などを画用紙にまとめ、それぞれ発表しあった。

 

各アイディアの概要はこちら
①ライブエンタメ街路特区

 

  • 道路を開放し、自動車の侵入を禁止する(歩行者天国ではなく恒久的に自動車侵入禁止)。開放した道路のうち大通りは広場にする。その結果、道路は歩行者のための道かエンタメのための場所となる。商品搬入のトラックなどは、周辺に停車するスペースを用意し、リアカーなどで運び込めるようにする。
  • 街中に大型ビジョンをどんどん設置したり、ビルの壁面をスクリーン化したりすることで、街中のビルや道路でプロジェクションマッピングができるようにする。大型ビジョンの価格は低下していることもあり比較的容易に導入が可能。災害時はプロジェクションマッピングをビルに表示して避難経路を誘導する。
  • 街中がエンタメ空間になることで、街中で毎日稼げるようになる。そのことで地元にもメリットがある。
  • ストリートを区切って色んなパフォーマンスをできるようにし、人気が出たら広場やイベントスペースへと移行できるようにする(小さい所から段々と大きな劇場へ)。劇場側もパフォーマーを見つけてきて育てていくというような試みをする。
  • テーマ別にゾーニングを行い、ファミリー、外国人、アダルト目的の人など色んな人向けのエンタメを楽しめるようにする。
  • 車が入ってこないので、歩行者が歩いて楽しめる街を目指す。ストリートにいるパフォーマーには安全を守ることにも協力してもらう。
  • 現状、路上に人が溢れているのに車が入ってきて危ないという問題がある。また歩行者天国にはパフォーマンス禁止などの制約があり、今ひとつ楽しめないという問題もある。それらの問題を解消しつつ、現状の秋葉原には屋外エンタメの場所がないという問題も解消する。
  • イメージは柵がない無料のテーマパーク。エリアに入ればなにかしら楽しめるものがあるので、目的がなく街に来ても大丈夫となる。
  • 建前上は「街の安全性を向上させる」ということを名目に取り組みを進めていく。先行事例として浅草では、初期消火やAEDなどの研修を受けた大道芸人たちが、外警備という名目で企業や商店街の私有地でパフォーマンスを行っている。
  • パフォーマンスだけでなく、かつて秋葉原で見られた路上実現販売を復活させたり、アマチュアが手作りしたものを販売できるようにすることも可能になる。

 

②朝葉原(あさはばら)ウォーキング特区

 

  • 秋葉原は「夜が早い街」である。それを改善するのではなく、逆に「朝が早い街」という特性を強化する。
  • 現状の秋葉原の強みとしては、昼を中心に人が集まって来て、夜は静かでクリーンな街であること。また、駅周辺に店舗が集中しており、外国人の人たちが集まっている。こうした現状の強みをできるだけ活かすにはどうしたらいいかということで、朝にフォーカスした。
  • また現状の秋葉原の課題としては、中央通りは非常に交通量が多くベルサール秋葉原前の信号で待たされることが多いのが障壁になっている。そこで本特区では通行規制ないしは中央通りの車道を地下化して、通過する車が地上を通れないようにする。それが実現すれば朝7時から夜の18時まで毎日中央通りを歩行者天国にするのが可能になる。
  • 現状の歩行者天国ではパフォーマンスや路上販売ができないようになっている。そうした規制を解禁して、中央通り自体がライブエンタメを楽しめる場所にする。
  • 朝中心の街に秋葉原がシフトすることで、朝の活動をより増やす必要がある。たとえばコンセプトカフェやライブハウスの空間を朝営業してもらう。外国人観光客は朝が早いので朝に秋葉原を楽しんで、その後に一日の行動を初めてもらう。また都内に勤務する人や秋葉原に住む人が仕事前に秋葉原に立ち寄って遊んでから仕事に行けるようになる。働く側も、朝メイド喫茶でメイドをやって、そのまま昼は別の仕事で働くなど多様な働き方ができる。
  • 朝といえばラジオ体操。朝にアイドルやメイドと一緒にラジオ体操をしてから一日をはじめることができる。
  • さらに本特区にはスローモビリティーを導入したい。秋葉原の中心エリアは平坦なので、自動車の通行さえなければセグウェイなどのスローモビリティーを活用しやすい。スローモビリティーで秋葉原の周遊性を高めれば、それ自体を街の魅力になる。また、パークアンドライドや自動車乗り入れ禁止は日本で成功した事例がほとんどないので、もし秋葉原で成功すれば話題になる。成功した暁には、隣接する浅草橋や御徒町方面にも取り組みを拡張させることが可能ではないか。
  • ちなみに、夜の時間は上野や御徒町に行って遊んで欲しい。

 

③限界突破アキペイ特区

 

  • 表現の自由など個人の自由を徹底的に守る特区。社会には様々なポリティカル・コレクトネスが存在する。それは正しいが、一人ひとりの心の自由を守る特区として、相手に何かを押し付けるということはしない特区を目指す。本特区ででは、人に迷惑をかけなければ逮捕はされない。歩行者天国は復活したが、いろいろな制約も多いため、こうした特区を荒技的に活用したい。
  • 特区の仕組みでハードルを下げることで、どこでも誰でも小さなことからライブエンタメ活動を秋葉原で行える仕組みづくりをしたい。また表現の障害を低くすることで、新しい表現や新しいモノを作る土壌を作りたい。
  • 特区では、アキバ総選挙を実施する。幼稚園や老人など老若男女100人程度が立候補し、「神7」を選ぶ。アイドルや声優、Nゲージ店の店長、秋葉原駅のミルクスタンドのおばちゃんまで秋葉原に携わる全員が立候補できる。それを実施すると、みんなが自分にとっての秋葉原を主張するので、結果的に秋葉原の理解が相互に深まる。また総選挙を行うことで話題にもなる。
  • アキバ総選挙を通じて、大統領が選ばれたら、その人のマニフェストを実行することを目指す。マニフェストの内容次第では法的に実現は難しいかもしれないが、選ばれた大統領はやりたいことを宣言して可能な限り実現に向け頑張る。こうした取り組みの基盤は、政治的なものではなく、超巨大オフ会的なスモールスタートとして緩く広がっていけばよい。
  • アキペイとして、秋葉原で遊ぶとポイントバック20%を導入する。遊べば遊ぶほど街が儲かるようにしたい。街中どこでも自由に使えて遊べるという街の遊撃手的なことを特区を通じて目指したい。
  • 将来的には『ガールズ&パンツァー』(通称:ガルパン)のように街中で戦車戦をやってもすぐに治るというガルパン方式の街づくりを目指したい。

 

なお、秋葉原アイディアソンVol.2「アキバ拡張作戦」で生まれたアイディアは後日掲載予定です。