「スポーツ文化資源」の発掘とその活用をテーマに活動するスポーツ文化資源プロジェクトチームでは、体を動かす「スポーツ」の実践だけでなく、様々な議論が重ねられる会議をひと月に1回開催してきました。
この度実施されたトークイベント「神田小川町からスポーツをひらく」は、この定例会での議論を更に深め、専門性のある話題から実際にスポーツに取り組むまでの道筋を作ることを目指しました。普段よりスポーツ文化資源プロジェクトチームで論戦のあった点について、腰を据えて話しをしつつ、東京文化資源区内で舞台となる神田小川町の人々やスポーツに関心のある人を交えながら、「今ここ(神田小川町)でするスポーツとは何か、今までにない開かれたスポーツとは何か」をテーマに議論するトークイベントです。
二部形式で構成された第一部では、スポーツ文化資源プロジェクトチームのメンバーである森田暁氏と新雅史氏によるプレゼンテーションからトークが始まりました。都市生活史、都市生業史、都市路上活動全般に知識を深める森田暁氏からは、東京で生まれ育った自身の生い立ちで経験したスポーツや運動について、関係する歴史・因果関係を交えてお話し頂きました。一方、社会学を専門とする新氏は、「東京文化資源区とスポーツの繋がりを考える上でのキーワード」として、「学問」「医療」「軍隊」「武術/武道」「国際→政治=権力の移動、ボーダレス、転用/転換」をテーマに話を展開しました。一見、スポーツとの関連性を発想しづらいキーワードが並びましたが、歴史や地理の関係性を読み解くことから、それらのキーワードがみるみるうちに繋がっていきました。
お二人のプレゼンテーションの後は、会場からもいくつかの質問が投げかけられつつ、互いの意見や疑問点について意見交換をして第一部を終えました。
第二部では、進行役に佐々木一成氏が入り、オーディエンスも巻き込んだ形でのディスカッションを展開しました。佐々木氏は、第一部の話題から拾い上げた疑問やキーワードを会場に投げかけつつ、更に議論を深めていきました。「文脈を知る事で改めてスポーツを楽しむ(これまでとこれから)」や「スポーツの定義とは?」など、スポーツをする上で煙たがられるような話題をあえて取り上げ、会場内のオーディエンスも交えて意見交換を行いました。会場からは、それぞれの立場で様々な意見が述べられ、2020年に開催される「東京オリンピック」で問題視されている点や、開催後の課題についても話題が及びました。
本トークイベントで取り扱った「スポーツ」というキーワードは、ここ東京・神田小川町において実現出来るスポーツを考えることや、 スポーツの取り組み実現のために生まれる摩擦の捉え方に対して、新しい角度からの発見をもたらしました。“私たちがこの町で何年先まで生きてゆくのか”という切実な未来像も、「スポーツ」を踏まえても同様に考えることができる、と気づかされた有意義なトークイベントとなりました。私たちはその課題に対し、実践と議論の両輪で検証を重ねていきます。スポーツ文化資源プロジェクトチームでは、いよいよ10月末に神田小川町でスポーツを実践、11月には本年第二回目のトークイベントの開催を目指します。
■開催概要
タイトル:スポーツ文化資源PT トークイベント「神田小川町からスポーツをひらく」
日程:2018年8月18日(土)19:30-22:00 第1部19:30-20:45 第2部21:00-22:00(打ち上げ22:00-23:00)
会場:KANDADA 3331 (東京都千代田区神田錦町2-1 1階)
参加費:一般1,500円/学生1,000円(軽食、ドリンク付き)