広域秋葉原作戦会議プロジェクトでは、秋葉原を周囲の町も含む「グレーターアキバ」という新たな広域地域として捉えなおし、江戸時代からの歴史も踏まえながら街のさらなる活性化を目指しています。これまでにシンポジウムや街歩きガイド作成など様々な活動を行ってきましたが、現在これまでの議論を踏まえて「アイデアソン」を定期的に開催しています。
今回はVol.2「アキバ拡張作戦」で生まれたアイデアをお届けします。
主催：東京文化資源会議 広域秋葉原作戦会議プロジェクト
日時：2019/2/26(火) 18:30-21:30
場所：秋葉原UDX4F LIFORK AKIHABARA STYLE ROOM E （東京都千代田区外神田4-14-1）
参加費：一般1000円、学生500円 ※軽食付き、参加費は当日受け付けにてお支払い下さい。
定員：40名
アイデアソン(Idea-thon)とは：アイデア(Idea)とマラソン(Marathon)を掛け合わせた言葉。特定テーマについて、様々な分野の人々が集まりグループディスカッション等を通じて、新アイデアを創り出す。今回は、視点を秋葉原の外の街に移し、「さまざまな人を惹きつけているアキバ文化を周囲の街にも広げるためのアイディア」を皆で考えたいと思います。その際に、どのようなアキバ文化を周囲の街に広げていきたいか、周囲の街にもともとあった文化とアキバ文化が混じり合ってどのような新しい文化が生まれるのか等を検討した。
当日の概要:
聖地巡礼関連やクールジャパンビジネスに携わっている方、地元企業の方、神田明神関係者など20名が参加。秋葉原やその周囲の街にどのような文化があるのかを確認し、それらをどのように組み合わせることでアキバ文化が周囲に広がっていくかを検討した。
まず、自己紹介と軽食時間を兼ね参加者が普段秋葉原でいる場所を地図で見ながらテーブルごとにシェアしてもらった。その上で「Mission1：秋葉原の街に存在する文化を検討せよ」として、秋葉原にある街の文化をキーワードタグとして挙げてもらった。次に「Mission2：秋葉原の周囲の街のキーワードタグを集めよ」として、秋葉原の周囲の街を方位で4つに分け、それぞれで秋葉原の周囲の街の文化のキーワードタグを挙げてもらった。
秋葉原を中心に方位で分けた4つのエリア
「Mission3：拡張作戦を立案せよ」では、これまでに挙げた秋葉原の文化と周囲の街の文化を組み合わせ、周囲の街にアキバ文化を根付かせるアイディアを①から④の各エリアごとに考えてもらった。最後に「Mission4：アウトプットを作成せよ」として、アイディアを画用紙にまとめ、それぞれ発表しあった。具体的には①から④エリアごとに、それぞれのエリアのコンセプトを立案してもらった。また可能な場合のみ、エリア内の名物Best5も作成してもらった。
各アイディアの概要はこちら
①メイドと回る夜カフェ（本郷・湯島・水道橋・末広町）
水道橋には東京ドームがあるが、それ以外の①エリアに含まれる本郷、湯島、末広町は夜が暗く怖い印象がある。そこで秋葉原とこの地区を掛け合わせ「メイドと回る夜カフェ」というコンセプトを作成した。
秋葉原といえばメイドカフェだが、このメイドカフェが①地区の暗い地域を照らし、明るくする。①地区内の名所とメイドカフェを掛け合わせ、1から5まで順番をつけツアーを行い回っていく。
１．岩崎邸×メイドカフェ＝大人のサロン
本物のメイドカフェ。岩崎邸のロケーションはとても良いので、そこを活用し「大人のサロン」を提供する。提供するお酒も高級なものが提供される。
２．東京ドーム×メイドカフェ＝野球カフェ（ナイター）
東京ドームのビールの売り子が、肩に背負ったサーバーからビールを注いでくれるというカフェ。
３．シビックセンター×メイドカフェ＝行政カフェ
東京ドームの隣にある文京区役所シビックセンターとメイドカフェを掛け合わせ、皆が知らない内部事情をお硬く説明してくれるカフェ。
４．病院×メイドカフェ＝夜の病院ツアー
メイドの衣装はナース服である。
５．神田明神×メイドカフェ＝投げ銭ライブのあるメイドカフェ
神田明神には銭形平次の碑がある。銭形平次に掛けてメイドカフェで投げ銭ライブを行う。
②アキバダム（御茶ノ水・神保町・小川町）
秋葉原は最新の文化が集まって来るので、基本的に「フローの街」である。同人ショップに置かれている同人誌やフィギュアショップのフィギュアがいつまで展示・販売されているのか分からないし、流行り廃りがビビットに街に反映される。それらの知識や情報をせき止めて蓄積する街が秋葉原駅の左下②のエリアということで「アキバダム」と名付けた。
このエリアには、大学、図書館、公文書館などのストック機能を有するハコが存在する。また②には神田西口エリアも含まれる。そこには居酒屋や小料理が沢山存在している。それらも「たまり場」といえる場所として見なせる。そういったハコに対する新たな価値を秋葉原から提供するというのが「アキバダム」のコンセプト。
アキバダムエリアのBest5
5位：等身大フィギュア居酒屋
神田西口の昭和の居酒屋テイストに、生身の女の子じゃなく自分が愛する「俺のヨメ」のような等身大のフィギュアを連れて来る。そこで楽しい時を過ごす。
4位：アニソン大規模イベント大学
大学施設というハコがいっぱいあるので、そこで秋葉原の街中ではできないようなイベントが可能。昨今ではアニソンDJを養成する学校もあると聞くので、大学でそういったアニソンカルチャーの人材育成をしてもいいのではないか。
3位：大学関係者によるメイドカフェ
もともとはこのエリアにある女子大の女子大生によるメイドカフェを構想したが、別に女子に限ることはないだろう、学生に限ることではないだろうということで、この表現に落ち着いた。男女を問わず、また大学教員や大学職員であってもメイドをやりたい人がどんどんなれるカフェ。
2位：学生が経営する店
様々な分野を勉強する学生がこのエリアには沢山いる。秋葉原には間口が小さいお店がいっぱいあるが、高齢化が進んでおり、後継者に悩む店も多いと聞くため、学生にその店で実際にビジネスを営んでもらい実地で学んでもらえばいいのではないかと考えた。神保町、御茶ノ水の大学から秋葉原をキャンパスにして大いに学んでもらう。
1位：同人誌アーカイブ
アキバダムというアイディアと一番密接に関わるところである。秋葉原でフローする情報資源を、神保町を中心としたエリアで受け止めてアーカイブ化し、後世に伝えることができる。まさに蓄積するダムのような役割が期待できるのではないかと考えている。このアイディアが実現した暁には、メイドがダムカレーを販売して炎上する予定。
③アキバの衣装室（神田・岩本町・小伝馬町・馬喰町エリア）
歩行者天国にもなっている中央通りを「アキバ舞台」と見立て、そこを色んな人が見たり見られたりする表舞台と考える。例えば『ラブライブ！』に出てくるキャラクターたちのような、その舞台の上に出てくる人たちの衣装は、誰かが素材を組み合わせ、様々な創造性を加え、作成し誰かに見せてという繰り返しからなる。そこで、色んな趣味やアーティストに合わせる「コーディネート」機能、創造的な「アート」機能、アーティストがプロトタイプモデルを見せる「ギャラリー」機能と、このエリアには沢山の卸売業者が存在するがその中でも「アパレル」や「アクセサリー」の卸が特に沢山ある。この「コーディネート」「アート」「ギャラリー」「アパレル」「アクセサリー」の5要素をまとめて「アキバ舞台」に提供していくのがこのエリアの役割である。
衣装や洋服のプロトタイプを卸として創り出すのがこのエリアの役割なので、量産は御徒町や浅草など他のエリアに任せる。また情報に関しては神保町で販売されている世界の書籍を参照するなどする。これまで全国に衣服を卸して来る中で培ったコーディネートセンスを武器に、アキバ舞台に立つひとたちの衣装に対する要求に応えていく。
『ラブライブ！』の中では、登場するアイドルが自分たちの手でデザイン、縫製、コーディネートをやっているが実際の高校生でそのような優れた能力を持っている人間はあまりいない。だからこそ、このエリアがそうした部分を担うことにより、スクールアイドルや踊り子たちが活躍できる下地を創ることができるのではないかというのが、このアイディアのコアである。
④芸術・テック・アダルトなイーストトーキョー！！
上野御徒町、蔵前、浅草橋のエリアを「芸術、Tech、アダルトなイースト東京！！」というコンセプトを作った。
芸術・テック・アダルトなイーストトーキョー！！エリアのBest5
5位：（秋葉原）ゴーゴーカレー×（上野）オークラピンク映画＝オトナのカレー文化
一体どんなカレーなのかは良くわからないがカレーにも大人があってもいいだろう。ピンク色のゴーゴーカレー。
4位：（秋葉原）Hack × （上野）芸大＝ハッカーvsアーティスト体力十番勝負
お互いが得意なものではなく、苦手なもので勝負しようという企画。今までに見たことないものが見られるのではないか。
3位：（秋葉原）フィギュア×（蔵前）おかず横丁＝美少女肉じゃが
お菓子ではなくおかずにフィギュアがついてくる食玩。
2位：（秋葉原）開業×（上野）仏壇＝来世での開業案内
秋葉原は開業の街なので、そこに上野の仏壇を掛け合わせ、来世での開業を案内するサービス。現世に疲れた人は、上野で来世の起業を考えようかなというアダルトなカルチャー。
1位：（秋葉原）地下アイドル×（御徒町）オリエント工業＝ラブドール48
ラブドールのアイドルユニット「ラブドール48」。ラブドールがアイドル活動を行う。世の中にはラブドールのプロレスラーも存在するので、だったらアイドル活動もできるだろうということから考え出された。
なお、秋葉原アイディアソンVol.3「千代田区都市計画マスタープランをハックする」で生まれたアイディアは後日掲載予定です。