地図ファブ

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文化資源の多くは地図上に表現され多くの人からのアクセスを容易にしています。しかし、文化資源の多くが表現された地図そのものも地図作成者の思いが詰まった文化資源そのものだと思いませんか。地図ファブは東京文化資源区を対象とした「地図」を文化資源の一つとして捉えて活動しているプロジェクトチームです。

地図ファブの活動は、文化資源である地図をアーカイブして利用可能な状態に供して、それをより高度な資源として利用・活用する環境を用意することで、次の企画・創造・開発といったクリエーションを生み出すリソース拠点という意図を持つことから「ファブ」という名前をつけました。

まちづくり・建築分野、情報技術、アーカイブなどの研究者の他、地域の活動家、メディア関係者、ICT関係者などによって支えらえています。

具体的な活動は、まずは地域に存在する既存地図の収集です。次に集めた地図に対して適切なメタデータを設定しアーカイブするアーカイブ活動です。また、アーカイブされた地図を用いた活動として、テーマを設定してアーカイブした地図を活用する「地図カタログ」、地図から興味深い対象を抜き出して新しい地図を作成する「オリジナル地図」も行なっています。

平成28年度は、139葉の地図を集め、アーカイブの仕様を検討して実装したほか、神田明神に全面的に協力いただき「古くて新しい祭りの楽しみ方」と題した神田祭ラボや、首都大学東京観光科学域への地図提供を行い公共交通観光の検討を行いました。平成29年度は、ベクターデータで構成された地図のアーカイブ手法を仕様検討・実装する予定のほか、関東大震災前後から第二次世界大戦後までの東京を描いた荒俣宏氏の「帝都物語」を題材として、東京文化資源区の都市のあり方をテーマとした地図カタログを作ってみようと考えています。

地図ファブでは、地域の公的な活動を支援するためと、公的に発行された地図も対象とするために、東京文化資源会議と対象3区(千代田区・文京区・台東区)とで三区文化資源地図協議会を結成しています。地図ファブと協議会は連携して必要に応じて役割分担をして活動することで、産官学民が関わるプロジェクトとなっています。

参考文献:
真鍋陸太郎・片桐由希子(2017)「地域文化資源としての地図が生み出すもの」ランドスケープ研究, vol. 81-01, pp. 34-37