広域秋葉原作戦会議プロジェクトでは、プロジェクトの活動目標を掲げた「マニフェスト1.0」を2018年9月に発表し、それに従う形で活動を行ってきました。活動を積み重ねる中で、プロジェクトとして数多くの活動成果を生み出すことができ、また広域秋葉原エリアを取り巻く社会状況も変化してきました。
そこで、これまでの活動成果を踏まえ、改めてプロジェクトとして広域秋葉原エリアをどのように捉え、どのように向き合っていくのかを示す新たな「マニフェスト2.0」を作成しました。マニフェスト2.0は、2020年9月に発行され、その後のプロジェクトの活動はこれに基づいて行われてきました。
このタイミングにおいて、「マニフェスト2.0」に描かれた私たちの広域秋葉原エリア観やプロジェクトの目標を社会に広く公開することで、広域秋葉原作戦会議プロジェクトの想いを社会に広くアピールしていきたく、ここにマニフェスト2.0を掲載します。
ここではマニフェストの冒頭のみを掲載しますがマニフェスト全文は以下からダウンロードできます。
以下、マニフェスト冒頭部分を転載。
1.広域秋葉原作戦会議とは
浅草・銀座・新宿・渋谷……東京には、各時代を象徴するまちがありました。戦後、電気街として復興を遂げた秋葉原は、90年代後半からオタク文化の勃興と共にまちの特異性に注目が集まるようになると、00年代以降は時代を象徴するまちとして日本のみならず世界中から人々を引き寄せるようになりました。
10年代以降は、大規模な再開発事業が完成し、インバウンド観光客を見据えて複数のホテルが進出してくるなど秋葉原の空間に新しい変化がみられました。また、オタク文化に関連しても、新たなライブエンターテイメントであるe-Sportsに関連する施設が増えたりしています。しかし、まちについてのイメージは、依然として00年代に成立したものを打破できておらず、空間の変化に伴った新たなビジョンも提示されていない印象を受けます。
こうした変化の中にあるにも関わらず、まちとして将来を見据えた新たなビジョンが提示できていない状況に対する危機感を持ち、それでも秋葉原が持つポテンシャルを信じて「広域秋葉原作戦会議」プロジェクトは発足しました。本プロジェクトでは、秋葉原の「辻」的性質に注目します[1]。江戸時代からの歴史に目を向けると、秋葉原は周囲との深い関係性の中に生まれたまちでした。ヒト、モノ、コト(情報)を通じて周囲の文化が集まってくる交差路、すなわち「辻」として機能しているまちが秋葉原なのです。
そこで本プロジェクトでは、地理的にも意味的にも狭義の秋葉原に留まらず、秋葉原と周囲のまちを1つの広域エリア「Greater Akiba(グレーターアキバ)/広域秋葉原」として捉え、エリア全体の歴史と現状を踏まえながら、まちの進化と将来像を検討することにしました。秋葉原にある多種多様な文化資源の把握と、それらを生かした新たなまちの未来像の提示を行っていきます。
座長:庄司昌彦(武蔵大学社会学部教授)
PM:菊地映輝(国際大学GLOCOM研究員・講師)、井上奈智(東京文化資源会議事務局)
[1] 秋葉原の「辻」性に注目するきっかけは、岸川雅範氏(神田明神)、森田暁氏(東京都心近郊界隈研究)らを中心とした議論によります。ここに記して御礼を申し上げます。